Journal

宝石よもやま話

有川 徹 — ジュエリーカフェ オーナー

宝石に魅せられて20年。尊敬する方や親しくしている方と交わした、宝石への想いと薀蓄を綴ったコーナーです。よろしければご一読ください。

01

宝石の色を科学する(光学的考察)

宝石の色は、光の波長のうち吸収されなかった「補色」を見ているにすぎません。地球誕生から現在まで太陽光の主な波長は紫→青→緑→黄と移り変わり、海の青、木の葉の緑もその影響を受けています。ルビーの赤、サファイアの青、翡翠の緑、ダイヤモンドの輝き — 宝石の色は、地球の歴史そのものを映しています。

02

続・宝石の色を科学する(心理的考察)

緯度によって太陽光の角度がわずかに異なり、地域ごとに心地よく感じる色も変わります。南国では色鮮やかなものが、日本では桜のような淡い色が美しく感じられるように、宝石の色の好みも世界共通の基準だけでなく、住む土地や個人の感性に根ざしていいはずだと考えるようになりました。

03

ホウセキノヒカリ

身の回りにはX線や遠赤外線など、目に見えない光がたくさんあります。素焼きの器から出る遠赤外線が体を温めるように、宝石にも目に見える色とは別の、見えない光が宿っているのかもしれません。宝石が私たちを癒やす理由は、その見えない部分にこそあるのかもしれない、というお話です。

04

宝石の歴史 1(王権の永続)

人類は自然の巨大な力への畏れから、不変で神秘的な力を宿すものとして石を崇めてきました。病を癒やし、人と人を結び、幸運をもたらす力があると信じられた宝石は、社会的地位の象徴となり、その習慣は今日の王冠や勲章、結婚指輪にまで受け継がれています。

05

宝石の歴史 2(誕生石の歴史)

誕生石のルーツは古代ユダヤ・キリスト教にあり、聖書に登場する12の宝石が起源とされています。18世紀に王侯貴族以外にも宝石の所有が許されるようになり、誕生石という習慣が広まりました。日本独自の誕生石は1958年、東洋七宝から珊瑚と翡翠を加えて定められています。

06

宝石のパワー 1

球体はエネルギーが均等に拡散する理想の形とされ、ピラミッドの形状にも不思議な力が宿ると言われてきました。ダイヤモンドは、そのピラミッドパワーを生む正四面体が幾重にも重なった八面体の結晶。だからこそ「宝石の王様」と呼ばれるのかもしれません。

07

宝石のパワー 2(石薬としてのパワー)

古代メソポタミアから中国医学、チベット医学、インドのアーユルヴェーダに至るまで、宝石を薬として用いる「石薬」の伝統は世界各地に存在します。トルコ石、エメラルド、パールなど、それぞれの石に応じた効能と、身につける前の「清め」の作法が伝えられてきました。

08

宝石のパワー 3(守護石)

西洋のエメラルドに対し、東洋を代表する守護石は翡翠。中国では仁・慎・勇・正・智の五徳を宿すとされ、日本でも縄文時代から神のパワーが宿る石として勾玉に姿を変え、大切にされてきました。日本人と翡翠の関わりは4000年以上にもおよびます。

09

宝石の価値 1(サムシング4)

花嫁が結婚式当日に身につける「何か古いもの・新しいもの・借りたもの・青いもの」という、イギリスに伝わる「サムシング4」という習慣。先人が若者に贈った知恵として、それぞれの品に祖先への敬意や新生活への願いが込められています。

10

宝石の価値 2(婚約リングの意味)

婚約リングは、単なる結婚の約束の証ではなく、母から娘・嫁へと想いを受け継ぐ王家の習慣が一般に広まったもの。もし母から指輪を受け継ぐ経験がなければ、自分がその家族の絆の「最初の一人」になる — そう考えて大切に持っていただきたいというお話です。

11

宝石の価値 3(資産価値でない、宝石の本当の価値)

祖国を持たなかったユダヤの人々や華僑の人々にとって、宝石は国境を越えて持ち運べる確かな財産でした。しかし、宝石の本当の価値はお金では測れません。人生を通じてその価値を自分自身で高めていくこと — そこにこそ、宝石の本当の価値があるのだと思います。